星川杉山神社

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宮司さんのおはなし 第35回

梅雨の時季を象徴する紫陽花と、鮮やかな草木の緑とを同時に楽しめる頃となりました。自然界の生きものはみな活力に満ち、そこここで新たな生命が産まれています。

さて、前回は当社の共同奥津城にて斎行いたしました春季恒例祭を通し、故人や先祖をお祀りすることの大切さについてお話ししました。今回は、神道におけるご葬儀の概念と、最近多いご相談についてお話ししたいと思います。

神道では、ご葬儀における全般の流れを総称して「神葬祭(シンソウサイ)」と呼びます。神葬祭はいくつかの儀式を重ねる形で斎行されますが、厳粛でありながらもわかりやすい流れであることが特徴です。また前回もお話ししたように帰幽された故人には諡(オクリナ)をおつけしますが、これは生前のお名前に性別や年齢に応じた尊称を加えたもので、すべての方に平等におつけすることも大きな特徴です。ご遺族の意向によって諡が変わったり、玉串料などが上下したりすることはありません。

さらに神道では、祭詞のなかで故人のお人柄やご家族とのつながり、生前の功績や趣味嗜好などを奏上します。これによって故人がどのような生き方をされ、どのような思いを抱いていらしたかということが参列者の方々に伝わります。ご家族や参列者の方々には、故人の人となりを改めて感じていただけることでしょう。そして故人を悼む心から生まれた思いが、新たな結びつきを育てることもあるでしょう。現世での生命は尽きても、それで終わりではないのです。神葬祭は、お家の守り神となられた命さまのお徳をいただきながら、そのご遺志を皆で受け継いでいくのだという気持ちの原点ともなるものです。

ただ最近では、ご葬儀を形式的なものと捉え、経済的な負担を避ける方が増えたためでしょうか、ご家族だけでご葬儀を済ませる家族葬や、散骨、樹木葬、仏式から神式への宗旨替えなどが多くなってきました。なかでも多いのは家族葬にしたいというご相談ですが、こうした場合に私がよくお話しするのは、故人が送られてきた人生について思いを馳せてみてください、ということです。

どんな方であっても、生きている間にはさまざまな方との関わり合いがあるものです。お勤め先で指導される立場であったり、指導する立場であったり、ご友人と余暇を楽しんだり、近所の方とご挨拶を交わしたり、親密さの度合いは違ってもそんな触れ合いが必ずあり、心の交流もあったはずです。そうしてさまざまな方と助け合ってこられたなかで、故人も、周りの方々も「ありがとう」とおっしゃりたいのではないでしょうか。確かに、施主となるご家族には大勢をお呼びすることへの煩わしさもあるでしょう、ご家族だけで悲しみに浸りたいというお気持ちもあるでしょう。けれど、だからといって単純に家族だけで見送るという考え方でよいのでしょうか。

そんな風にお話しし、神葬祭は形式だけのご葬儀ではありませんとご説明すると、多くの方が「私が間違っていました」とおっしゃいます。特に親御さんを亡くされた施主の方には、これまで育ててくださった親御さんに対し、感謝のお気持ちをどう表すのが一番よいのか考えてみてくださいとお話しします。なぜなら、その方の親御さんの送り方は、それを見ていたお子さんやお孫さんにそのまま受け継がれていくからです。施主の方の親御さんとの関係は、お子さんとの関係にも必ず波及します。

散骨や樹木葬に対しては、それが故人の遺言だからとおっしゃる方もいらっしゃいますが、果たしてその遺言は本心から出たものなのか、実は本心ではないのではないかと思うことが多くあります。ご家族との関係や経済的な事情が影響している場合も多いので、私はやはり施主の方に故人への感謝や先祖を敬う気持ちの大切さを理解していただき、よく考えてから決めてくださいとお話しします。

神葬祭の意味についてひとりの方がわかってくださると、そのお気持ちは代々受け継がれていくようになります。当社では、そうした親子関係や心のつながりが生まれる神葬祭を斎行していきたいと考え、より丁寧に、心を込めてご奉仕を行うよう心がけています。

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